日本舌側矯正歯科学会
Japan Lingual Orthodontic Association

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ご挨拶

理事長よりご挨拶

【理事長 伝法 昌広】

日本舌側矯正歯科学会は1998年に設立され、創設40年を目前に控えています。毎年新入会員も増え、現在では800名に近い会員数となっています。そして、ここ数年では、例年になく新規会員数は増えてきています。

世界的にみて、舌側矯正のシェアは減少傾向にあり、アメリカではほとんどの矯正歯科企業が舌側矯正から撤退しています。マウスピース型歯科矯正治療装置での治療の質の向上とそのシェアの拡大が大きな理由とも言えます。他者から矯正装置が見えないことは患者にとって大きな利点と言えるのは明らかです。
では、なぜ舌側矯正治療は繁栄できなかったのか。様々な理由があるとは思いますが、一番の大きな理由は英語での発音にあると思っています。舌側矯正装置による発音障害は多くみられます。日本語の場合通常は1〜2週間で慣れると言われていますが、英語ではどうでしょうか。中学時代、英語の発音の授業で舌を前歯に当ててとか、前歯で舌を噛むようになど言われた記憶があると思います。英語の場合発音時に舌を前歯の舌側に当てる音がとても多いのです。そのため英語での発音障害は日本語の比ではありません。英語圏で舌側矯正が敬遠される理由の多くはここにあると思います。現在、舌側矯正治療が続いている国は日本、韓国、フランス、イタリアなど必ず非英語圏です。逆説的にとると非英語圏では、まだまだ舌側矯正の需要はあると言えます。
今後、マウスピース型矯正装置のクォリティは上がっていくでしょう。しかし、現状では未だブラケット治療には及ばない部分もあります。その、より確実な治療を行うための一手段として舌側矯正治療は有効であると考えられます。

そのためには、”確実に治る舌側矯正治療”の普及が必要となります。日本舌側矯正歯科学会では、学術大会以外にも学びの場を設けています。舌側矯正を始めてみようという方にはベーシックタイポドントコース、舌側矯正に必要なラボワークを学びたい方にはセットアップセミナー、舌側矯正特有のハイジーンワークを学びたい方にはコデンタルセミナーと、それぞれの学びに分けてセミナーを開催しています。また、学術大会では舌側矯正だけに留まらず、矯正治療全体を捉え、よりレベルの高い治療が出来るように充実した内容を届けられるよう心がけています。舌側矯正を学ぶことでオリエンタルな唇側矯正治療をさらに深く知り、矯正力の反作用の出方が似ているマウスピース型矯正治療へも還元できることでしょう。

ここ数年の会員数の増加は、若い矯正医によるものです。舌側矯正を学ぶことで、すべての矯正治療のスキルを底上げ出来るはずです。
ぜひ、若い矯正医こそ、矯正治療全体のレベルアップのために舌側矯正の扉を叩いていただきたいと思います。

日本舌側矯正歯科学会 理事長 伝法 昌広